モンゴル遠征報告 vol.5
モンゴル遠征報告 vol.5
『Great Mongolia Gobi Desert Marathon 2013(6days250km)』
ステージ5日目!
■ETAP-5 ■56.910km(2013/9/20)
昨夜の熱(39℃)は、朝方には37℃まで下がった。
真っ暗な夜は不安でいっぱい。
この夜、遠征中で、最初で最後だったが、妻と子供の写真を眺めた。
ひとり、テントの中で過ごす夜は不安でいっぱい。
でも、翌日、太陽が昇るとなんとなく力が湧いてくる。
この日の朝は一番に起きて、人一倍、朝食に時間を掛けた。
じっくり、ゆっくり咀嚼(もぐもぐ)して、唾液(消化酵素)を出して、ゆっくり胃に流し込んだ。
一番に食べ始めて、一番最後まで食べていた。
この日は、6ステージ中で、最長距離となる約57kmのステージ。
朝方の気温も6ステージ中で、最も寒く感じた。
スタート前のテント撤収作業の際に、うっすらとテントの表面が白く透き通るように凍りつく瞬間を目にした。
かじかむ手を「はーはー」言いながらのテント撤収作業。
周りのランナーも口数が減り、疲労がピークであることを隠せない表情。
スタートの5~6分前になってもスタート地点に行かずに、地面に座り込んでいる姿も見えた。
昨夜も、テントの何処からか、うなされているような、うめき声が聞こえてきた。
疲労は、トップ集団のモンゴリアンランナーの表情からも見受けられた。
モンゴル人のクロカンスキーヤーは、足首が少々腫れ上がっているようだ。
しかし、必死でそれを隠そうと、私に弱身を握らせないように、見せまいとする姿が、朝食時にあった。
そして、もうひとりの遊牧民ランナー。彼も足を引きずっているが、目が合えば、力強い目線を私に送りつけた。
戦いだな。闘い。そう感じた。
でも、、ここからは、他人との闘いではない。
「自分自身との闘いだ。」そう感じた。
相手と競おうとも思わず、ただまっすぐ前を見据え、淡々と走った。
一人旅。
エイドで、振り返ると、微かにモンゴリアンの姿が見える。
彼らも最後まで、諦めていない。
追いつかれるかもと思う恐怖より、自分がこの日のゴールまで、本当にたどり着けるのかの不安の方が大きかった。
ただただ、まっすぐ前へ前へ。
30kmを過ぎたエイドで、ドリンクを摂取した5分後に、胃が震えたと思ったら、激しい嘔吐。
やはり、発熱後とあり、内臓にきたようである。
しばらくすると、お腹がゴロゴロ。激しい下痢。
とにかく、我慢ガマンで足は止めずに進める。
舌の上にモノが乗るとえづくことから、エネルギージェルを歯ぐきに押し込み、ジェルが歯茎から歯を伝って、口中に落ちてくるのを吸収。
完全に限界を超えた状況下。
こんな状況であと20km走れるのか。
やはり、不安は尽きない。
この時、自身に問いかけてみたこと。
「朝5時まで残業して、今すぐ走り出したくて走りたくて我慢していたあの時。あの時、あんなに走りたかった気持ちはどこに行った?あの時と今。どっちが楽しい?」
そう思ったら、こんな状況でも自然と笑顔になった。
「今でしょう!」笑
モンゴルの大地で、ヒクヒクえづきながら大声で叫んだ(笑)
楽しさが込み上げてきた。
最後のエイドステーションまで、やってきた。
あと5km坂を登って、4km一気にくだればこの日のゴール。
photo by SSER akira akamatsu .
もう後ろは振り返らなかった。
キラキラ光る湖を見下ろしながら4kmを転げるようにくだった。
■ETAP-5 ■56.910km■5時間48分54秒■1位
ゴール後、荷物を担いで、ゲル内入った途端、ホッとしたのかユニホームのまま気を失うように、深い眠りに入ったようである。気がついたら、2時間経過していた。
ここ湖は、世界大戦中、250Kmほど北にあるジャルガラント収容所(シベリア抑留)にいた日本兵が1週間をかけて歩いてきて魚を獲って食べたはいいが、食あたりを起こして苦しみ、遊牧民に助けられた言い伝えがある湖。
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2002年には秋篠宮様が泊られた場所でもある。
明日は、いよいよラストステージ!
モンゴル遠征報告レポートも次回で[最終回]
■ETAP-6■42.495km(2013/9/21)
つづく♪
モンゴルの夕日、キレイだったなぁ☆
この太陽が、世の中で一番強いと感じた。
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